ソフトバンクの孫社長は「ARMの買収が、シンギュラリティにおける最も重要な布石になる」と言います。シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人類の知能を追い越す転換点(技術的特異点)の事を指し、早ければ2029年~2045年頃にやって来ると言われています。

人工知能が人類の知能を追い越す。それはまさに革命であり、現在我々が常識だと思っている事も覆される事もあります。つまり今後人類が考えつかなかった、多くの事が明らかになる可能性があると言う事です。

孫さんは会見の中で『人類の知能を追い越した人工知能は、”ディープラーニング”が行えるようになる。人工知能がディープラーニングするには、大量のデータが必要。そのビッグデータは、IoTデバイスにより集められる。したがって、IoTデバイスに搭載するチップを開発できるARMの買収が、シンギュラリティにおける最も重要な布石になるということだ。』と、その買収の意味を明かしました。

今後人工知能の品質が、ビジネスに大きく影響を与え、その成否を分ける事は明白です。このブログでは、暗号通貨はお金という側面だけでなく組織であり、意思決定が重要だという事を学びました。つまり組織の頭脳を代替やサポートする人工知能は、近い将来暗号通貨(証券)に大きな影響を与えるのは確実です。IBMも最近ブロックチェーンと人工知能(Watson)を使った、プロトタイプの開発に動き出したようです。
IBMの新ワトソンセンターが人工知能とブロックチェーンを一体化「ユーディーアール」(2016.6.10)
【SoftBank World 2016】 基調講演 孫 正義「ソフトバンク(SoftBank)」(2016.8.2)
AI(人工知能)の開発競争のポイントとは?
それではAIの開発競争におけるポイントは一体何でしょうか。人工知能の原理を考えると、大きく分けて、1)半導体、2)アルゴリズム、3)データの3つの要素によって決定される事に気づきます。つまりこの3要素の掛け合わせによって、AIの品質が決まると言えます。基本的に半導体はハードですから、メーカー以外はアルゴリズムとデータで勝負して行く事になり、Google、Apple、Facebook、Microsoft、Amazonなど両方を持ち合わせる企業以外は、他企業とのアライアンスによってアルゴリズムやデータなどをそれぞれ持ち寄り、強みを活かして競争して行くことになりそうです。

次に人工知能が飛躍的に向上したと言われるディープラーニング(深層学習:多層のニューラルネットによる機械学習)について調べてみたいと思います。GoogleDeepMindが開発したAlphaGo(アルファ碁)によって注目された技術は、『人間に頼らず自ら学んで進化する』のが革新的な点です。つまり、AI自らがデータを作り出す事が可能であり、日本でもNHKスペシャルで取り上げられ一気に話題になりました。

AIは完全情報ゲームと呼ばれるチェス、将棋、囲碁と、より複雑なゲームの中で人間と対戦する事によりアルゴリズムの構築方法も進化して行きました。このアルゴリムは大きく分けて、大局観と呼ばれる局面の良し悪しの形勢判断を行う「評価関数」と、何手先まで読むかといった「探索プログラム」の2つで成り立っているようです。最初のチェスの段階では両方人間が作っていましたが、将棋はボナンザ革命によってプロ棋士の対戦データを機械学習し、評価関数を構築する事によって進化しました。囲碁は、このディープランニングによってAlphaGo同士の対戦(強化学習)によって学習データを増やし、精度の高い評価関数を構築したのが特徴です。AlphaGoのアルゴリズムは、ディープ・ニューラルネットワーク(人工神経回路)を用いて、実装された「value network」と「policy network」によって動くモンテカルロ木探索を行います。
将棋電王戦への道 :コンピュータ将棋に革命をもたらしたボナンザのアルゴリズ「engadget日本版」(2015.10.2)
グーグルらが人工知能で「囲碁の謎」に挑む理由「WIRED」(2016.1.1)

NHKスペシャル 【天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る】「NHKオンライン」(2016.5.15)
自動化された人工知能は非常用ボタンが必要 ブロックチェーンは?
ブロックチェーンは、ビザンチン将軍問題を解決しましたが、シンガポールの人工知能によるDBS銀行の犯罪予測システムは、9割の確率で職員の不正行為を事前に発見し、未然に防ぐ事が可能だと言います。先進的な取り組みを行っているこの国では、未来のIoT社会、シェアリングエコノミーなどをイメージする事が可能です。国家によってスマホやセンサーによってあらゆる行動履歴(データ)が集められ、人工知能を使って効率的な社会を実現させる実験を行っています。

またブロックチェーンと人工知能は同じ自動化されたシステムですが、TheDAO事件前までのブロックチェーンはダウンしない事が素晴らしいと評価されていました。しかし人工知能を学べば、IoT社会ではそれが問題である事が容易に理解出来ます。コンピュターが分散化されたIoT社会では、いつでもどのコンピューターからも同じ情報が引き出せる事が重要なポイントです。ステファン・トーマス氏も柔軟性に乏しいブロックチェーンに見切りを付けたと言いますが、IoT社会におけるブロックチェーンも、ビットコインの「分散型台帳」とは異なるアプローチが必要になると言えそうです。
圧勝「囲碁AI」が露呈した人工知能の弱点「日経新聞」(2016.3.7)
人工知能の暴走を防ぐ「非常停止ボタン」はつくれるか「WIRED」(2016.6.8)
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