リップル・ラボは社名をリップルに変更し、更に業界の潜在的ニーズであったエスクローを兼ね揃えたコネクター、ILP(インターレッジャー・プロトコル)を発表しました。これで既存の法定通貨はもちろん、あらゆる価値の交換が容易になります。ネット上の話題はこの独自通貨(トークン)を持たないILPの導入によって、更にXRPの利用が促進されるのか否かが議論の的のようです。

恐らく、これは「銀行はXRPを介さずIOU同士の送金が可能だから必要性の無いXRPの価値は上がらない」といった主張が発端になっていると思います。私も過去この点に猛反発し「日本人投資家のリップルの理解は正しいのか?」という記事を書いた記憶があります。しかし、私は良く知りませんが、こう言った主張は海外でもされている事なのでしょうか?今は全く気にしていませんが、以前から思っている事があります。

そもそも、この『XRPはハブ通貨として利用されないと価値が上がらない』と言うロジックこそ正しいのでしょうか?

interledger
リップルネットワークそのものに価値があり唯一の資産はXRP
確かに、XRPが銀行などにハブ通貨として利用される事に越した事はないです。しかしハブ通貨として利用された所で、銀行が直接XRPを保有する事につながらず、全く重要なポイントではない事に気づきます。XRPだろうが、IOUだろうが銀行に対してリップルネットワークが与える新たな価値は不変です。私は暗号通貨は「価値の共有圏」を拡大し、時価総額の最大化を目指す競争だと思っています。まずはネットワーク上に銀行が抱える価値が共有されなければ、XRPと交換する事さえ出来ません。

つまりリップルネットワーク上には、大きく分けてIOUとXRPという異なる価値がありますが、まずはこの異なる価値の交換可能な規模を拡大して行く事が、最終的にXRPの価値向上につながると思うのです。アーリーステージのリップルが行わなければならない事は、あらゆる外部資産をネットワークに取り込んで行く事であり、オープンソースのインターレッジャーは、それを強力にサポートします。一度ネットワーク内に取り込んでしまえば、IOUをXRPに変更させる戦略を練る事はいつでも可能です。

なおネットワーク上の唯一の資産は、負債のIOUでなくXRPです。もしもネットワーク上に危機が起こった時に、あなたがIOU(通帳に記載された100万円)とXRP(現物の100万円札)の二者択一であれば、どちらを選ぶかは明白だと思います。つまりIOUとXRPの時価総額は、少なくとも同等以上でなければならない事が理解出来ます。また銀行は、なぜクローズドではなくオープンなネットワークとつながる必要性を感じているかも考えてみる必要性があると思います。

XRPの価格形成に重要なのは、マーケットメイカーと呼ばれる投資ファンド

XRPの価格に不安を抱いている方は、XRPの価格に重要な影響を与える存在がマーケットメイカー(投資ファンドや為替業者)と言う事に、気づいていないのかも知れません。彼らは参加する度に少量のXRPを与えられており、既にあなたと同じXRPの時価総額の最大化を狙うコミュニテーの一員でもあります。
リップル・ラボしか気づいていない暗号通貨競争の本質「暗号通貨革命」(2015.6.16)
時は金なり  価値は時間の関数であり、信用は時間によって生まれる
更にインパクトのある例を上げてみたいと思います。当初リップルのIOUを活用していたエターナルコインは、発行する企業の資本金以上の価値はないはずだという類の批評が見立ちました。しかし彼らは利用店舗や交換所、海外展開など「価値の共有圏」を広げています。例えばこのコインを上限10億円まで保証した銀行のような交換所があっても、発行企業の資本金以上にポテンシャルは上がらないでしょうか。顧客は実際に交換しなくても安心し、あなたは価値の共有圏を広げる事が価値向上につながり、時間とともに信用につながる事に気づくはずです。

最後に言いたい事をまとめると、万が一銀行がXRPをハブ通貨として送金に利用しなくても、リップルは一行で数百兆円規模の資産を抱える銀行達とネットワークを共有するだけでも価値は飛躍的に上がるだろうという事です。現在一セントにも満たないXRPが、今巨大な銀行達と価値を共有しようとしています。

人々の価値基準とは千差万別であり、価値を決定する要因のこれと言った正解は無いのかもしれません。しかし私はあまり外部の発言に振り回されず、リップルの成長を見守って行く事をあなたにお勧めします。(投資の判断は自己責任でお願いします。)
暗号通貨革命が考えるXRPの価格形成の仕組み
<前編>価値のインターネット(Internet of Value)こそフィンテックの未来
<中編>リップルが価値を産む3つの理由
<後編>ビットコインとリップルの総発行数は、実は殆ど変わらない
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